遺伝カウンセリングとは?出生前診断のカウンセリング

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検査をうけるだけなのに、カウンセリングまで必要なの?と思われる方もいるでしょう。遺伝学的検査を行う場合には事前に遺伝カウンセリングを行うことが必要とされています。遺伝カウンセリングでは実際にどのようなことがおこなわれているのでしょうか。

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングとは、遺伝にまつわる病気や悩み、疑問に対し科学的根拠に基づく医学的情報の提供、理解を得ること。そして、自らの力で医療技術や情報を用いて問題解決得るよう心理面社会面も含めたサポートを行うことです。

日本では1970年代に「遺伝相談」として遺伝カウンセリングサービスが提供されました。遺伝医療の発展とともに1990年代後半に大学病院を中心に遺伝子診療部が、2000年代に入り、遺伝医療の専門家として臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーの制度が整えられたという経緯があります。

遺伝性の病気がみつかったり、自分の病気が子どもにもひきつがれてしまうのではないか、など遺伝にまつわる悩みをもって遺伝診療を受診される方も多いでしょう。

遺伝カウンセリングが対象としているのは相談にきた人だけでなく、その家族など健康な人も含まれます。遺伝カウンセリングのなかでは相談に来た人の気持ちに寄り添いながら、正確で最新の遺伝医学のみならず、倫理的な問題、社会的なサービスといったところまで情報を伝えることが求められます。

なによりも本人が状況を理解し、受け止めたうえで意思決定を行うというのが大切であり、遺伝カウンセリングでは一連のプロセスすべてを支援していくのです。遺伝カウンセリングでは情報の提供、心理的社会的支援の両方が含まれますが、相談者のニーズに応じて情報の提供で終わることもあれば、相談者の話を聴くことに注力すること、心理・社会的支援でカウンセリングが終わるなど臨機応変に内容の変化も伴います。

遺伝カウンセリングの定義

広くしられている遺伝カウンセリングの定義は、2006年に米国遺伝カウンセリング学会(National Society of Genetic Counselors)のもので、日本医学会が策定した「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」にも記載されています。

 ――遺伝カウンセリングは、疾患の遺伝的要因がもたらす医学的、心理的、家族的影響に対して、人々がそれを理解し適応するのを助けるプロセスである。このプロセスは、以下の項目を統合したものである

  •  疾患の発症や再発の可能性を評価するための家族歴と病歴の解釈(Interpretation)
  • 遺伝形式、遺伝学的検査、治療、健康管理、予防、社会資源、研究についての情報提供(Education)
  • インフォームド・チョイス、あるいは、リスクや疾患への適応を促進するためのカウンセリング(Counseling)

遺伝医療で扱う問題は多分野にわたるため、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーだけでなく、そのほかにも各診療科の臨床医や看護師、ソーシャルワーカー、場合によっては地域の療育施設などとの連携も必要です。

遺伝カウンセリングで行われる内容

遺伝診療での診察を遺伝カウンセリングとよんでいます。まずはカウンセリングに足を運ぶまでの経緯や意向といったことをお聞きします。家族のことや病歴、妊娠分娩歴などその上で、正確かつ最新の医学的情報をお伝えするとともに、検査や治療、方針について話をすすめていきます。 

いずれもしっかりと時間をとり、充分な理解が得られるよう丁寧にすすめていきます。 

そして、遺伝診療に関し、疑問点、問題点など理解をいただいた上で遺伝子検査を受検するかを決めていきます。遺伝子検査の受検可否については医療者が判断することではなく本人の充分な理解の元、判断していただくことになります。 

遺伝子検査を行った場合には家族、親族への影響も配慮した上で検査結果をお話します。医学的な解釈、判断に応じた精密検査や治療法だけでなく、倫理・社会的側面からも配慮し、生活で気をつけること、社会的な支援についても一緒に話をすすめていくのです。 

そのなかでも、生殖医療に関する遺伝カウンセリングでは、出産後の子どもの療育についての知識や福祉サービスについての情報提供などについてもカウンセリングの中でおこなっていきます。

遺伝子検査を行うタイミングには大きく3パターンあり、そのタイミングで遺伝カウンセリングを行います。

  • 妊婦に対して行う妊娠リスクや出生前診断などの出生前
  • 先天的な異常や病気をもって産まれた児の診断や情報提供を行う小児期
  • 成人発症の遺伝性疾患や家族性腫瘍などを扱う成人期

遺伝性疾患を考える場合には家系図が必要になります。家系図をもとに血縁者、親族の病歴を含めた情報をあつめ、遺伝性疾患のリスクを検討していきます。

出生前診断の場合には先天性疾患の診断をするために相談者の遺伝子診断を勧めることもあります。

また、遺伝子検査を行う前に遺伝カウンセリングを実施することがとても重要であるとされています。検査を行う前に検査の意義、検査を受けたあとの対処などカウンセリングをする必要があります。そのため、検査結果が出てからでなく、検査前のカウンセリングが必要なのです。

また、遺伝子検査の結果は、相談者本人だけでなく家族、その他の血縁者にも関わってくる内容であることから家族への影響もカウンセリングのなかでケアしていく必要があります。

遺伝診療の今後

欧米では遺伝専門医や遺伝カウンセラーも広く普及しており、遺伝カウンセリングも一般診療のなかで行われることもあるようです。日本では遺伝カウンセラーの人数が少ないことも示しているとおり、まだまだ認知されていない分野かもしれません。 

しかし、日本でも2013年に新型出生前診断(NIPT)が可能となり、2019年3月にはNIPTを受けることができる施設が増えてきました。NIPTを受ける妊婦の増加、妊婦に限らず、がん診療などにおいても遺伝の関与は広く知られるようになってきていることから、遺伝診療、遺伝カウンセリングの需要が増えていくのは必須でしょう。 

一般にも遺伝検査が受けられるようになってきていますが、遺伝診療は遺伝子検査を行うだけではありません。まずは遺伝子検査で何がわかるのか、どういった検査なのか、メリットやデメリットだけでなく、遺伝子検査による倫理社会的影響までしっかりと理解することが必要です。また、遺伝子検査を行うのであれば結果の解釈、判断と精密検査、治療、心理的影響まで遺伝カウンセリングの中で一手に担うことになります。 

日本医学会の「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」にも出生前診断の遺伝学的検査を行う場合には、適宜遺伝カウンセリングをうけることが必要であると明記されています。出生前診断には、医学的なことだけでなく、社会的、倫理的にも大きな課題があるためであり検査を行うことの意義についてもしっかり理解した上で本人が最終的に検査を受けることを決定する必要があるためです。

遺伝医療は多くの研究が重ねられ、日進月歩で新たなことがわかってきています。遺伝診療はほぼ原則として自費診療で行われており、そのため、高額であり、NIPTの場合には約9~20万円程度の費用がかかります。その分得られる情報は大きく、遺伝カウンセリングとあわせて検査についての知識、理解を深めた上で検査を受けるかも含め判断されることをお勧めします。 

参考文献

  • 日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」
    http://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis.pdf 

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記事の監修ドクター

木村 眞樹子先生

木村 眞樹子先生

内科医師。都内大学病院で内科として在勤中。産業医として企業の健康経営にも携わっている。プライベートでは3児の母。
総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格

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