イルミナ社の検査機器をもちいた日本国内の妊婦さんのNIPT検査(5,022件の実績)
ヒロクリニックでは、これまで5,000件以上の検査をおこなってまいりました(2020年6月~2021年1月)。東京衛生検査所の協力のもと、5,022人の妊婦の方がヒロクリニックでできる全ての検査(フルセットプラン F)を行ったときに日本国内の妊婦さんにとって、もっとも適切な検査内容はなにか。また、どの年齢の人が、どのような検査を行うことが適正なのかを検証しました。
今回のデータ解析は以下の条件で行っております。
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検査年齢制限なし
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対象染色体の制限なし
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日本国内の妊婦さん限定
NIPTコンソーシアムが推奨する「35歳以上の制限」を設けない中ではどのような結果が得られるのか?ということについて、これまで検証されてきませんでした。
もちろん、21、18、13番染色体が占める陽性率に関しては報告されていますが、その他の全染色体(性染色体を含む)、全領域部分欠失・重複に関するデータは本邦においては報告がされていません。
世界のNIPT研究において遺伝子疾患は民族性、地域性が存在することが知られております。
ただ、欧米を中心にアジアを含めた様々な研究データがあるにもかかわらず、これまで日本国内の妊婦さんに限定した遺伝子疾患のデータの報告は行われておりません。
ヒロクリニックは、これまでの検査で得られた「5,000人以上の日本国内の妊婦さんのNIPT検査結果」を公開し、妊婦さんの検査選択の一助になることを祈っております。ヒロクリニックでは妊婦さんを含む関係者の知る権利を守ることを最重要視しております。(2021年1月18日現在)
総数 | 5,022人 | |
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35歳以上 | 2,659人 | 52.9% |
35歳未満 | 2,363人 | 47.1% |
陽性者最年長 | 46歳 | |
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陽性者最年少 | 24歳 |
陽性患者数 | 135人 | 2.59% |
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35歳以上陽性例 | 95 | 3.46% |
35歳未満陽性例 | 40 | 1.61% |
35歳以上の妊婦様が約53%と半数を超えております。陽性者の最年少は24歳です。陽性率は2.59%です。35歳以上の陽性率は3.46%と35歳未満の陽性率の2倍以上になっております。実際には35歳未満の出産数が3倍程度多いため、推定される異常数は35歳以上全体の異常数から見ると35歳未満は約1.5倍(=0.5×2)になると考えられます。
妊婦の年齢 | 21番 トリソミー | 18番 トリソミー | 13番 トリソミー | 性染色体 | その他常染色体 | 全染色体全領域部分欠失・重複疾患 | 合計 |
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全陽性箇所 | 38 | 18 | 10 | 17 | 28 | 24 | 135箇所 |
全陽性人数 | 38 | 18 | 10 | 17 | 27 | 20 | 130人 |
35歳以上 | 31 | 16 | 6 | 9 | 28 | 13 | 95箇所 |
35歳未満 | 7 | 2 | 4 | 8 | 21 | 11 | 40箇所 |
年齢間倍率 | 443% | 800% | 150% | 89% | 300% | 118% | 238% |
※複数の疾患があるケースはそれぞれの疾患としてカウントしております。
陽性者の内訳は「21番トリソミー」が28%、「18番染色体トリソミー」が13%、「13番染色体トリソミー」が7%と全体の半分を占めております。一方、13、18、21番染色体以外の染色体の異数性(染色体数の数の異常)は常染色体で21%、性染色体で13%とあわせて35%を占めております。
また、700万塩基以上の欠失重複例は18人(22箇所の染色体異常が検出)で陽性となりました。その内訳は以下の通りです。
染色体番号 | 検出した疾患 | 検出した疾患 | 検出した疾患 | 件数 |
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1番 | 1番部分欠失 | 1番 部分重複 | 2 | |
2番 | 2番 部分欠失 | 1 | ||
3番 | 3番 部分欠失 | 3番 部分重複 | 3番 部分欠失 | 3 |
4番 | 4番 部分欠失 | 4番 部分欠失 | 2 | |
5番 | 5番 部分欠失 | 5番 部分重複 | 2 | |
7番 | 7番 部分欠失 | 7番 部分重複 | 2 | |
8番 | 8番 部分重複 | 1 | ||
10番 | 10番 部分欠失 | 1 | ||
15番 | 15番 部分重複 | 1 | ||
18番 | 18番 部分重複 | 18番 部分重複 | 2 | |
20番 | 20番 部分欠失 | 20番 部分欠失 | 20番 部分重複 | 3 |
21番 | 21番 部分重複 | 1 |
全領域部分欠失・重複はそのサイズ、場所によってさまざまな臨床所見を取ることが考えられます。ただ、当院で検出する全領域部分欠失・重複は700万塩基以上であるため、その2%がエクソン領域と考えても約14万塩基配列のモノソミー・トリソミーであることから同疾患を有した場合には何らかの障害が生じる可能性が考えられます。
5022人のNIPT検査を行った際の検査カバー率
21番 | 18番 | 13番 | 性染色体 | その他常染色体 | 全染色体全領域 部分欠失・重複 | |
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陽性箇所 | 38箇所 | 18箇所 | 10箇所 | 17箇所 | 28箇所 | 24箇所 |
陽性人数 | 38人 | 18人 | 10人 | 17人 | 27人 | 20人 |
検査可能プラン |
妊婦さんがヒロクリニックでよく選ばれている検査プランの「検査カバー率」を数値にしたものが、上の棒グラフになります。
検査カバー率とは、選択された検査プランで陽性となるケースの割合を示しています。検査項目でミニマムプランを選んだ場合には検査カバー率は51%に対して、35歳以上の妊婦におすすめのOver35プランは86%のカバー率です。 検査カバー率51%というのは49%の疾患が陰性で返っていることを示しています。
上から2段目が当院の「おすすめプラン」になっております。5,022人の検査で陽性になった検査項目のみを厳選したプランであり、コストバランスがよい検査となっております。 どういった結果も逃したくない方にはフルセットプランをお勧めいたします。