ダウン症とは【医師監修】

ダウン症は、21番目の染色体が1本多くなる21番トリソミーで発症する先天性の疾患で、新生児で最も頻度の多い遺伝子疾患です。この記事ではダウン症の原因、症状、検査などについて詳しく解説していきます。

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ダウン症とは

ダウン症は正式には「ダウン症候群」と呼ばれ、21番目の染色体が1本多くなることで発症する先天性の疾患です。19世紀後半にイギリスの内科医ジョン・ラングドン・ダウンが最初に報告したことが名前の由来となっています。現在日本でのダウン症出生数は年2000人程度で出生頻度は0.1~0.2%(約500~1000人に1人)と考えられており、新生児に最も多い遺伝子疾患です。
つり上がった小さい目などの特徴的な顔貌、言葉や筋力の発達の遅れ、知的障害などの症状のほか、心臓や消化器などの疾患を合併しやすいことが知られています。高齢出産ではダウン症のリスクが高くなるため、晩婚化が進み出産年齢が上昇している日本ではダウン症児の出生頻度が上昇してきています。
この記事ではダウン症の原因、症状、検査などについて詳しく解説していきます。

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ダウン症の原因

ヒトの遺伝子は46本の染色体で構成されており、父親から受け継ぐものと母親から受け継ぐものがペアとなって2本づつが23対存在しています。ダウン症の原因はその中で21番目の染色体である21番染色体が2本ではなく、3本となる「トリソミー」と呼ばれる状態になってしまうことです(「21番トリソミー」と呼ばれます)。
ヒトの精子と卵子は細胞分裂する過程で46本から半分の23本の染色体に分かれて、受精すると46本になります。しかし、何らかの原因で21番染色体がうまく分離せず2本とも精子もしくは卵子に入ってしまうと、受精した際に21番染色体が3本になってしまいます(これを「染色体不分離」と呼びます)。ダウン症の90~95%がこの染色体不分離が原因であると考えられています。染色体不分離と高齢出産が関係あることは知られていますが、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。
ダウン症は遺伝子の異常によって起こる疾患ですが、このように染色体分離が原因である場合は両親の遺伝子に問題があって遺伝するわけではなく、「突然変異」によって起こると考えてよいでしょう。
残りの5~10%は転座型と呼ばれるタイプで、両親のいずれかの21番染色体が他の染色体に結合している(「転座」と呼びます)場合に、ダウン症の子供が生まれて来る可能性があります。両親は転座している遺伝子を持っていても症状がなく保因者となります。このタイプは両親から子供へダウン症が遺伝することになります。
最もまれなタイプがモザイク型と呼ばれるものです(全体の約1%)。受精後の受精卵が細胞分裂する過程で染色体不分離が生じ、21番染色体が3本になってしまうことで発症します。このタイプも両親から遺伝するわけではなく、「突然変異」によるものです。

ダウン症の症状

ダウン症は全身に様々な症状を起こすほか、精神や知能の発達が遅れるといった症状が出る可能性があります。ただし、全ての症状が現れるというわけではなく、出現する症状には個人差があります。

特徴的な顔付き

ダウン症の小児は特徴的な顔付きをしています。頭が小さく、両目が少し離れていてややつり上がっています。顔は扁平で低い鼻を持つ傾向にあり、耳は小さくて丸く低い位置に付いています。舌が大きめで前に出ていることが多いことに加え、顔の筋肉の緊張が低いため口を開いたままになることが多いです。

身体的な特徴

全体的な筋力が低下しており、関節が弛緩しています。身長は低く、肥満になるリスクが高くなっています。
 手は短く幅広で、手のひらを横切るような1本のしわが見られます。指も短く、小指の関節が一つ少なかったり、内側に曲がっていることもあります。
 頚椎が不安定で脱臼することもあります。こちらは軽度であれば経過観察することも可能ですが、脱臼するような場合は手術が必要となってきます。

発達の遅れ

ダウン症の小児では言葉の発達の遅れがしばしば見られ、言葉が不明瞭で語尾だけを声に出したり、抑揚のない話し方をすることがあります。筋力が弱いために、ハイハイや歩行など運動面での発達の遅れも認めます。
ダウン症の小児の知能指数は平均で50程度と考えられていますが、知的障害には個人差があります。成長とともに変化することもあり、日常生活を行うことができたり、運転をできたりするような方もいます。早期に療育などで介入を行うことで 能力を高めることが期待できます。

心臓の合併症

先天性心疾患はダウン症の約50%に合併すると言われています。先天性心疾患の中でも、心臓内を4つの部屋に仕切っている壁の形成が不完全であることで生じる、心内膜床欠損や心室中隔欠損症と言う疾患の頻度が多いです。重症の場合は手術をして心臓の構造を修復する必要があります。

消化器の合併症

消化器の合併症を引き起こす頻度も多く、頻度は約5%と言われています。具体的には、消化管が正常に形成されないことで起こる十二指腸閉鎖や鎖肛(肛門が閉じてしまう)などで、生後間もない時期に手術が必要となるケースもあります。

その他の合併症

心臓や消化器の合併症の他に、甲状腺疾患、白血病、目に関する合併症(屈曲異常、白内障など)、耳鼻科に関する合併症(中耳炎、難聴など)神経系に関する合併症(けいれん発作、早期発症アルツハイマー病など)、排便や排尿の機能障害など、数多くの合併症を起こすことがわかっています。

最近では診断精度の向上による早期発見、心臓手術が積極的に行われてきたことなどにより寿命が長くなっており、平均寿命は約60歳となっています。

ダウン症の検査

出生前検査

血液検査
クアトロ検査

出生前の血液検査としては、「クアトロテスト」と呼ばれる、母親の血液中のβ−hCG、非抱合型エストリオール、インヒビン、αフェトプロテインという4種類のマーカーを測定する方法があります。保険適用はされませんが、比較的安価に行なうことができます。ただ、診断精度は高くなく、ダウン症の検出率は約80%で、5%の確率で偽陽性(ダウン症でなくてもダウン症と診断されてしまうこと)と判断されてしまいます。

NIPT(エヌアイピーティー 新型出生前診断)

最近は新型出生前診断(NIPT:non-invasive prenatal genetic testing)と呼ばれる検査も行われるようになってきました。クワトロテストと同様に母親から血液を採取する検査ですが、母親の血液中にある赤ちゃんのDNA断片を解析して、染色体の病気や異変を調べることができる新しいスクリーニング検査です。ダウン症の検出率は95%以上で偽陽性も0.3%程度とクアトロテストに比較して検査の信頼度は高いですが、この検査も保険適用外で費用が高くなっています。また、施設によって高齢であることなどの条件を設けている場合もあります。当クリニックでは、このNIPT(新型出生前診断)を行っています。
これらの検査はいずれも診断が確定できるわけではなく、あくまでスクリーニングのための検査であり、確定診断には後で説明する羊水検査が必要です。

羊水検査

血液を用いた検査でダウン症が疑われた場合は、診断を確定するために羊水検査が行われます。超音波検査で胎児や羊水の状態を調べながら、細い針を刺して羊水を採取します。羊水中に含まれる胎児の細胞を調べます。血液検査と比較すると体に負担をかけるためは、1000人に数人程度の割合で流産をする可能性があります。また、羊水が漏れ出たり、お腹が張ったり、感染を起こしたりするリスクもあります。

出生後検査

出生前に判明しなかった場合は、出生後に新生児の外見や血液検査で診断を確定します。

診断が確定されたあとは、前に述べたような心臓や消化器などの臓器の合併症がないか、心エコー検査や血液検査などで定期的にフォローすることが必要です。運動や知的な発達の遅れに対しては早期から介入を行い、発達を促したり、家族のサポートを行っていきます。

ダウン症は、21番目の染色体が1本多くなる21番トリソミーで発症する先天性の疾患で、新生児で最も頻度の多い遺伝子疾患です。この記事ではダウン症の原因、症状、検査などについて詳しく解説していきます。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医

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