高齢出産のリスク 過ごし方の注意点とは ?

女性の社会進出とライフスタイルの変化により先進国では少子化、妊婦の高年齢化が進んでいると言われています。 今回は高齢出産のリスク、過ごし方の注意点を解説します。

胎児の性別は
10週目でわかります

胎児の性別は
10週目でわかります

はじめに  

近年では晩婚化と生殖補助医療の発達に伴い妊婦の高年齢化が進んでいると言われています。

さて、高齢出産ではどのようなリスクがあるのでしょうか。

今回は高齢出産のリスク、過ごし方の注意点をみていきたいと思います。  

高齢出産はいつから?  

日本では女性が35歳以上で初めて妊娠すること、世界的には出産経験のある経産婦が40歳以上で妊娠することも含めて高齢妊娠といわれます。

その後出産に至った場合、高齢出産と呼ばれます。 

女性の社会進出が進んだこと、ライフスタイルが変化したことにより初産の平均年齢が2017年には30.7歳となり、これは1975年より5.0歳、85年より4.0歳高くなっています。

生殖補助医療は進化しているものの妊娠適齢期、閉経時期は変わりません。

高齢出産・高齢妊娠においては、トラブルがある可能性も考慮しながら過ごしていくことが大切です。 

妊娠の適齢年齢について  

女性の卵子の数は、まだお母さんのお腹の中にいる胎児20週の頃に600-700万個と一番多く、胎児36週頃になると200万個までに減少します。

さらに思春期8歳~17歳頃から生殖適齢期18歳~34歳頃には30-50万個に、37歳くらいまでに2万個に、閉経時期の51歳~53歳頃までには1000個程度にまで減少すると言われています。  

女性の妊娠しやすさは、おおよそ33歳位までは緩徐に下降しますが、卵子数の減少と同じく37歳を過ぎると急激に下降していくと言われています。  

さらに卵子の質の低下(染色体数の異常)は35歳頃より数の異常な染色体の割合が上昇します。          

一方、男性の場合も加齢による精巣機能低下が起こります。

精液量、精子正常形態率、精子運動率が減少し、精子DNAの損傷の割合も上昇することから、男性の年齢の上昇が妊娠へ至る能力の低下や流早産への影響があると言われています。  

25歳未満の男性を基準とすると、35歳以上では一年以内に妊娠へ至る確率は1/2になると報告があります。

男性の場合は女性と異なり閉経のようなことはありませんが、男性も年齢とともに妊娠へ至る能力が低下します。  

母体年齢におる出産率は35歳頃より減少傾向となり、39歳頃を境に急激に出産率が低下して流産率が上回るようになります。

母体の年齢が35歳以上になると流産リスクが2.8倍に上がり、さらにカップルの年齢が40歳以上になると流産のリスクが5.6倍高くなるという報告もあるようです。  

高齢出産で起こりやすいこと 

妊娠高血圧症候群  

妊娠高血圧症候群とは妊娠20週以降、分娩12週までの間に高血圧となる疾患で、蛋白尿や全身の内臓の障がいを伴うことがあります。

高血圧が妊娠前、もしくは妊娠20週までに起こっている場合には高血圧合併妊娠と言います。 

高血圧の定義は、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上のことです。  

妊娠によって身体に負担がかかり高血圧を引き起こすため、若い妊婦さんよりも高齢の妊婦さんの方がかかりやすくなります。

重症の場合には赤ちゃんの発育不全やお母さんの脳出血やけいれんなどの危険がありますので、帝王切開などで早期に出産を計画する場合もあります。  

妊娠糖尿病  

妊娠をきっかけに発症した糖尿病のことを妊娠糖尿病といいます。

妊娠前は何も異常がなくても、妊娠後ホルモン分泌の変化により血糖値が上ってしまうことがあります。  

妊娠糖尿病は通常の糖尿病とは異なり出産が終わるとほとんどの場合正常に戻ります。

しかし妊娠糖尿病になると妊娠高血圧症候群、羊水過多、難産、巨大児、低出生体重児、重症であると胎児死亡などの危険もあります。  

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は、非妊娠時のBMI値が肥満、家族に高血圧症、糖尿病がいる、妊娠後急激な体重増加のある妊婦さんに発症しやすいと言われています。

栄養バランスを考えたうえで、塩分や糖分に注意し、適度な運動を行うことが大切です。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病は初産婦、経産婦ともに35歳以上の妊婦さんは注意が必要です。初産の時にトラブルがなかったからといって安心しないようにしましょう。

流産、早産  

早産とは妊娠37週0日以前に赤ちゃんが生まれることをいいます。

妊娠22週0日~妊娠36週6日までの出産を早産、妊娠22週未満の出産は流産といいます。高齢出産の場合、流産や早産が起こりやすくなります。

流産率は30~34歳までは15%、35歳~39歳は17~18%、40歳以上は25~30%という結果があります。  

流産になるのは、染色体異常など胎児側の原因があって起こるケースがほとんどです。

卵子の質の低下、精子も年齢とともに妊娠へ至る能力が低下するため、そのことも流産率を高くする要因となります。  

難産  

赤ちゃんが生まれる時に通る産道や子宮口は、年齢が上がると徐々に硬くなってきます。

そのために赤ちゃんが通れず、お産に長い時間がかかることがあります。

前置胎盤や胎盤早期剥離などの合併症の発生頻度も年齢が上がるにつれ高くなります。

危険な状態となった場合は緊急で帝王切開などを選択される場合があります。  

産後のトラブル  

産後子宮の収縮が悪く、元の大きさに戻らないことを子宮復古不全といいますが、高齢出産の場合にはこの子宮復古不全になりやすくなります。

産後の疲れが中々回復しないと、 母乳が出にくくなったり、産後うつを引き起こすことがありますので、無理をせずにパートナーや家族、産後ケアサービスなどを使うことが重要です。若い妊婦さんと比べるとどうしても疲れやすく、疲れが回復しにくいということを自覚することが必要です。

ダウン症などの染色体異常  

ダウン症候群は余分な21番染色体によって起こる染色体異常症の一種です。

知的障害と様々な身体的症状がみられます。

ダウン症候群の小児では発育の遅れ、精神発達の遅れ、特徴的な頭部と顔つき、低身長などがみられます。  

ダウン症の生まれる頻度を年齢別でみてみると、20歳0.06%、29歳 0.1%、30歳 0.105%に対し、36歳になると0.34%、38歳 0.57%と頻度が上がっていき、40代に入ると41歳 1.22%、42歳 1.56%、そして44歳 2.63%、45歳 3.33%という高頻度になります。

超高齢出産と呼ばれる50歳以上では10%というデータもあります。  

以上のことから何歳であっても染色体疾患を持つ赤ちゃんを妊娠する可能性はありますが、年齢が上がると確率が増えると言えます。  

新型出生前診断(NIPT)ではお母さんから採血し検査をすることにより、ダウン症などの染色体異常を調べることができます。

高齢出産で心配があるお母さん、赤ちゃんの状態に心配があるお母さんはNIPT検査を受けることもできるでしょう。  

高齢妊娠の過ごし方の注意点  

様々なリスクが挙げられる高齢妊娠ですが、妊婦検診をしっかり受け、食生活に注意し、身体を労わってあげることで安全に出産まで迎える妊婦さんも多くいらっしゃいます。

高齢出産の過ごし方で特に気を付けるべきことを挙げてみました。  

葉酸の摂取を  

妊娠中、特に重要と言われている栄養素の一つに葉酸があります。

妊娠を希望する女性、妊婦さんが葉酸を摂取することで赤ちゃんの先天性疾患の神経閉鎖障がいや無脳症の発症を防ぐことができます。

葉酸は成人女性では240μg/日、妊娠を希望する女性、妊婦さんは480μg/日が推進されています。すべて食事から480μgの葉酸を摂取することは極めて難しく、サプリメントも併用して摂取することがよいと言われています  

バランスの良い食生活を。塩分の摂りすぎに注意  

妊娠中にはバランスの良い食事に気を付けましょう。

体重増加に注意して高タンパク、鉄分を摂取することが重要です。

カロリー、塩分の取りすぎは妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を起こす危険がありますので、注意が必要です。  

適度な運動を  

ヨガやピラティスは腰痛緩和や難産の予防に良いと言われています。

可能であれば妊娠前から適度な運動を心がけ筋肉を鍛えていた方が妊娠中、産後のトラブルを軽減できます。

健康な人も過信せずに生活習慣を見直すとよいでしょう。  

体重増加に注意  

急激な体重増加は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こすことがあり、その結果、難産となってしまう場合があります。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病では自覚症状がないことがほとんどなので、きちんと産婦人科での妊婦検診を受け、自宅でも定期的な体重測定をし体重管理に注意しましょう。  

さいごに  

高齢妊娠・高齢出産では人工授精や体外受精などの治療を受けた末にやっと授かったという夫婦も少なくないでしょう。

また子宮内膜症や子宮筋腫の治療を受けながら妊娠に至った妊婦さん、赤ちゃんを待っている夫婦もいると思います。  

様々なリスクがありますが、身体を労わり健康的な生活を送ることでそれらを軽減することができます。

若い年齢での出産よりも高齢妊娠・高齢出産では精神的なゆとりや経済的なゆとりで落ち着いて出産に臨めるというメリットもあります。  

母親になるということはとても神秘的な出来事です。

そして子供を持つということは大きな喜びが待っていることでしょう。

正しい知識を得て、よりよいマタニティライフを過ごしましょう。  

【参考文献】

日本産婦人科学会   https://www.jaog.or.jp/learning

女性の社会進出とライフスタイルの変化により先進国では少子化、妊婦の高年齢化が進んでいると言われています。 今回は高齢出産のリスク、過ごし方の注意点を解説します。

NIPTについて詳しく見る

NIPTについて詳しく見る

関連記事

  1. 妊娠中の重要な5つの栄養素を解説
  2. 母子健康手帳

    妊娠したら必要な届け出とは?【NIPT(…

    2020.04.17

    • 届け出

    • 気を付けること

  3. 悪阻

    これってつわり?原因から対策までご紹介【…

    2020.04.10

    • 不安

    • 妊娠

    • 妊娠かも

    • 妊娠中

    • 妊娠初期

    • 気を付けること

    • 症状

  4. 妊娠検査薬の正しい使い方
  5. 妊娠期間

    妊娠期間はどのくらい?正しい週数と出産予…

    2020.04.03

    • 妊娠かも

    • 妊娠初期

    • 妊娠期間

人気の記事

  1. 妊娠かな?と思ったら確認すべきこと
  2. 胎児の成長の画像 
  3. 妊娠中に食べた方が良いもの
PAGE TOP
NIPT(新型出生前診断)のヒロクリニック|経験豊富な産婦人科医が行う新型出生前検査|結果は特急便なら最短2日