子宮外妊娠が起こる原因とは?おもな予兆と症状・治療について【医師監修】

子宮外妊娠とは?

子宮外妊娠とは学術用語で異所性妊娠といわれています。異所性の文字通り、受精卵が子宮内膜以外の部位に着床し、胎芽が生育した妊娠のことです。この記事では子宮外妊娠が起こる原因や、その予兆と症状、治療法についてなどについて医師が解説します。

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この記事のまとめ

子宮外妊娠とは受精卵が子宮以外の部位に着床した妊娠のことです。卵管が癒着や狭窄・炎症などが起こっていると卵管の通りが悪くなり、受精卵が正常に運搬されません。このとき受精卵が卵管などに着床すると子宮外妊娠を発症してしまいます。また自覚症状はほとんどなく卵管流産や卵管破裂によって非常に強い腹痛が起こり発覚することが多いです。手術またはMTX療法(薬物療法)で治療します。

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子宮外妊娠とは?

異所性妊娠(いしょせいにんしん)とは、受精卵が子宮内膜以外の部位に着床し胎芽が生育した妊娠のことです。一般的には子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)と呼ばれています。しかし、医学的には異所性妊娠は子宮外妊娠を含む概念とされており、異所性妊娠のなかで最も多いのが子宮外妊娠といえるでしょう。

正常妊娠とは

同所性妊娠ともいわれ、受精卵が正常な子宮内膜に着床した妊娠のこと

異所性妊娠とは

受精卵が正常な子宮内膜以外の部位に着床した妊娠のこと

子宮外妊娠とは

受精卵が子宮以外の部位に着床した妊娠のこと

つまり、子宮外妊娠は正常な子宮内膜以外への着床となるため、すべてが異所性妊娠とされます。なお子宮内妊娠でも頸管妊娠や帝王切開創部の筋層内妊娠となった場合、正常な子宮内膜以外の妊娠であることから異所性妊娠となります。

子宮外妊娠で最も多いのは卵管への着床、卵管妊娠です。子宮外妊娠の約95%が卵管妊娠(卵管着床)とされています。妊娠検査薬で陽性反応が確認できているにも関わらず、エコー検査(超音波検査)で妊娠6週以降も子宮内に胎嚢(たいのう:胎児を包む羊水で満たされる袋)が確認できない場合は、子宮外妊娠が疑われます。

胎児は子宮以外の着床では育つことができません。また卵管は細い管であり、卵管に着床し胎芽が大きくなることで卵管破裂を引き起こすことも少なくありません。卵管破裂は腹腔内出血や外出血の危険性があることから、子宮外妊娠の早期発見は重要といえるでしょう。

また卵管妊娠と類似した経過と症状をもつ卵巣妊娠があります。卵巣妊娠とは受精卵が卵巣組織内に着床したものですが、卵管妊娠に比べると頻度は低いです。

子宮外妊娠になる原因と再発率

受精が成立した受精卵は卵管を移動しながら細胞分裂をおこない、子宮へ向かい子宮内膜に着床します。しかし卵管が癒着や狭窄・炎症などが起こっていることで、卵管の通りが悪くなり、受精卵が正常に運搬されません。この時、受精卵が卵管などに着床すると子宮外妊娠を発症してしまうのです。

卵管の癒着や炎症などはクラミジアや一般細菌など、性感染症によるものといわれますが、卵管の異常は性感染症以外にも原因はさまざまです。これまでに受けた卵巣や卵管への開腹手術や子宮内膜症なども挙げられます。また、不妊治療による体外受精をおこなった際の胚移植も原因とされていますが、子宮外妊娠すべての原因はまだ解明されていません。

過去に子宮外妊娠の経験がある場合、子宮外妊娠の再発率は高くなるとされています。一般的な子宮外妊娠の発生率が約1〜2%に対して、子宮外妊娠後の再発率は約10%に上昇することから注意が必要です。

卵管流産と卵管破裂の違いとは

卵管流産とは受精卵が付着した胎盤側から出血し、受精卵が剥離することで引き起こります。胎嚢や胎芽は卵管腔から腹腔内へ排出され、剥離部位からの出血は少量で、自然に止血することがほとんどです。一方、卵管破裂とは胎嚢の増大とともに卵管壁が破れることで引き起こります。胎芽は腹腔内に排出され、破裂部位からは持続性のある腹腔内出血にいたる危険な状態のことを指します。

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子宮外妊娠を発症するおもな原因

  • クラミジアなど性感染症による卵管付近の炎症
  • 子宮内膜症
  • 卵管周囲癒着 
  • 卵管閉鎖 
  • 卵管狭窄 
  • 体外受精
  • 胚移植 
  • 過去に子宮外妊娠の経験
  • 過去に帝王切開の経験
  • 骨盤腹膜炎
  • 卵管形成手術など

また40歳以上での子宮外妊娠の発生率は20〜30歳代の倍以上ともされています。その他、子宮内避妊具を使用していたにも関わらず妊娠した場合、約2~5%が子宮外妊娠といわれています。

子宮外妊娠のおもな症状

子宮外妊娠はつわりや腹痛、不正性器出血など、正常妊娠と変わらないことから自覚症状はほとんどありません。また妊娠を自覚せず、不正性器出血を月経と誤認しているケースも多いため注意が必要です。では子宮外妊娠による痛みはいつから起こるのでしょうか。

子宮外妊娠の多くは卵管流産や卵管破裂によって非常に強い腹痛が起こります。この時にはじめて子宮外妊娠が発覚することも多くありますが、腹腔内出血などでショック症状を引き起こし死に至ることもあります。

日頃から月経不順や不正性器出血がある方は、子宮外妊娠以外にも思わぬ疾患が隠れていることも考えられます。大きな不調や妊娠の自覚がなくとも、早めの受診が大切です。

子宮外妊娠の検査方法

子宮外妊娠は自覚症状がほとんどありません。卵管破裂などによる激しい腹痛で子宮外妊娠が発覚することも多くあります。子宮外妊娠のリスクを避けるためにも、妊娠が確定した際は、しっかりと妊娠検査を受けることが大切です。子宮外妊娠の早期発見には一般的な妊娠検査で正しい妊娠週数を知り、エコー検査やhCG検査が必要とされています。

妊娠検査

妊娠検査とは正しい妊娠週数・胎児の健康・成長など、母体と胎児の健康状態を知る検査のことです。妊娠検査はおもに、「問診」「尿検査」「触診・内診」「エコー検査(超音波検査)」をおこないます。なお、子宮外妊娠は妊娠初期では診断をおこなうことはできません。子宮外妊娠はエコー検査で胎嚢を確認する必要があります。

hCG検査

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)とは妊娠中のみ測定可能な量が産生されるホルモンです。hCG検査は市販の妊娠検査薬のほか、子宮外妊娠など妊娠初期に多くみられる異常妊娠の診断にも使用されます。

正常妊娠では約2日間ごとにhCG濃度は倍以上に上昇します。しかし子宮外妊娠の場合、hCG濃度の上昇速度は正常な子宮妊娠よりも遅いとされ、横ばい、もしくは低下することも多くあります。そのため、hCG検査により子宮外妊娠を検査するためには、連続してhCG濃度の測定をおこないます。

エコー検査(超音波検査)

妊娠4週目になるとエコー検査(超音波検査)により、子宮の中に黒い袋状の胎嚢が確認されます。妊娠5週目に入り、エコー検査で胎嚢が確認されない場合は流産、もしくは子宮外妊娠の可能性が高いとされます。

子宮外妊娠の治療法とは?

子宮外妊娠が発見された場合、妊娠が継続していなければ自然排出(自然治癒)するケースも少なくありません。子宮外妊娠の場合、胎児は致死的(流産)となりますが、破裂前に適切な治療をおこなうことで母体の死亡率は非常に低いとされています。また、子宮外妊娠の治療には外科的切除(手術)、もしくは薬物療法が用いられます。

外科的切除(手術による治療)

子宮外妊娠の手術による治療は卵管の状態によって異なります。通常、腹腔鏡手術でおこなわれますが、開腹手術が必要なケースも少なくありません。卵管の保存が可能である場合、焼却法または超音波メスによる卵管切開術・胎芽の除去をおこないます。

卵管が破裂してしまった子宮外妊娠では卵管切除術が適用されますが、卵管損傷部位のみを切除します。その後、妊娠を望む場合は卵管の修復により妊娠の可能性が最大になるよう、卵管温存手術をおこないますが、いずれも子宮外妊娠の状態により異なります。

メトトレキサート(MTX療法)

卵管妊娠が小さく、未破裂の場合は薬物療法が適用されます。使用される薬剤はメトトレキサート(MTX)という、抗がん剤の一種で筋肉注射により投与されます。メトトレキサートのもつ、がん細胞の成長を抑制する作用により胎児の細胞分裂を止める治療法となります。

メトトレキサートは子宮外妊娠の治療の場合、保険適用外となります。また、抗がん剤であることから、副作用に吐き気や白血球・血小板減少、脱毛などが挙げられます。しかし、いずれの副作用も一時的なもので、数週間から3か月ほどで回復するとされています。

子宮外妊娠による出産例

受精卵は子宮内以外で成長することができません。そのため子宮外妊娠の場合、妊娠継続は不可能となります。

しかし、極めて稀な症例に子宮内外同時妊娠が挙げられます。これは二卵性双生児の場合に見られる症例となり、1つの受精卵は子宮内に、もう1つの受精卵は子宮外に着床することで起こります。子宮外に着床した受精卵は子宮外妊娠となり成長することはありません。一方、子宮内に着床した受精卵は妊娠継続が可能であり、子宮内外同時妊娠による健児(子宮内の胎児)の出産例の報告もあります。

インターネットなどで見られる「子宮外妊娠による出産例」などは、子宮内外同時妊娠と混同している可能性が高く、残念ですが現代の医学では子宮外妊娠による妊娠継続・出産はできません。

流産リスク回避のためにヒロクリニックNIPT(新型出生前診断)

流産リスクは子宮外妊娠以外もさまざまです。とくに高齢妊娠の流産・早産リスクは35歳~39歳は17~18%、40歳以上は25~30%とされています。高齢出産の流産はおもに、胎児の染色体異常症が原因です。流産リスクを早期発見することで母体の健康を守ることができるといえるでしょう。

ヒロクリニックNIPTでは、21トリソミー(ダウン症候群)であれば感度、特異度ともに99.9%と高精度に胎児の染色体異常症や先天性疾患リスクの可能性を調べることができる、NIPT(新型出生前診断)をおこなっております。

NIPT(新型出生前診断)とは母体からの採血のみで検査が可能です。そのため胎児への直接的な侵襲(ダメージ)は、ほぼないとされています。またヒロクリニックNIPTNIPT(新型出生前診断)は妊娠6週目から検査可能です。

子宮外妊娠や流産リスクは、食事や生活環境に関係なく引き起こることも多くあります。母体の健康と、より健やかな妊娠・出産のために。妊娠が確定したらヒロクリニックNIPTによるNIPT(新型出生前診断)を検討してはいかがでしょうか?

世界最高水準のNIPT
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

【参考文献】

Q&A
よくある質問

子宮外妊娠についてのよくある質問です。参考にしてみてください。

  • Q
    子宮外妊娠になったあとに、また妊娠はできますか?
    子宮外妊娠の治療後に、自然妊娠・出産する方は少なくありません。しかし、子宮外妊娠の再発率は約10%と低くないため、子宮外妊娠後の再妊娠の際はしっかり検査をおこなうなど、注意が必要です。

    また残された卵管の状態が悪い、もしくは両卵管を切除した場合でも体外受精により妊娠は可能とされています。

子宮外妊娠とは学術用語で異所性妊娠といわれています。異所性の文字通り、受精卵が子宮内膜以外の部位に着床し、胎芽が生育した妊娠のことです。この記事では子宮外妊娠が起こる原因や、その予兆と症状、治療法についてなどについて医師が解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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