プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群とは【医師監修】

プラダー・ウィリー症候群及びアンジェルマン症候群

15q11.2欠失症候群はプラダー・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群とも言われている遺伝子異常が原因の指定難病です。特徴から治療方法まで具体的紹介し、NIPT(新型出生前診断)についても解説します。

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15q11.2欠失症候群とは

15q11.2欠失症候群とは、下記の2つの症候群が挙げられます。

  • プラダー・ウィリー症候群
  • アンジェルマン症候群

上記の2つの症候群のについて特徴・原因・症状・合併症・治療方法について具体的に紹介していきます。

プラダー・ウィリー症候群とは

特徴

15,000人に1人の割合で乳児期早期の3歳を過ぎた頃に重度の緊張低下と摂食障害が起こり、乳児期後期には過食をしてしまう肥満症の特徴があります。また、それ以外には言語発達や運動発達が遅れて、頑固な性格、強迫的性格などの特徴があり、プラダー・ウィリー症候群の特徴としては、低身長・斜視などが挙げられます。

原因

プラダー・ウィリー症候群の原因は、現代の医療でもはっきりとし原因は分かっておりませんが、親から引き継いだ15番染色体のq11とq13の父親染色体全常染色体全領域部分欠失疾患は70%で、15番染色体母親ダイソミーは20%の染色体異常が原因とされております。

また、プラダ―・ウィリー症候群は、遺伝性は無く、エピ変異の家族発症例も報告されていないです。

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合併症

プラダー・ウィリー症候群の合併症については、呼吸障害・糖尿病・近視・遠視・斜視・皮膚感覚麻痺が挙げられます。

その他にも、一番患者と家族を悩ませることは、性格障害・異常行動の2つも挙げられ、一生向きわないといけないと症状でもあります。

また、合併症を防ぐうえで有効に働くのは、日常生活で気を付けるが挙げられます。

食事・栄養管理が非常に重要で、一度肥満になってしまうと痩せることが困難になってしまうため、1日のカロリー計算を徹底して行うことをおすすめします。

治療方法

治療法については、下記の4つが挙げられます。

  • 運動療法
  • 性ホルモン補充療法
  • 成長ホルモン補充療法
  • 食事療法

上記の4つの療法は世界的にも容認されており、プラダー・ウィリー症候群に効果があるとされています。

また、その他の療法として、まだ世界的に認知度は低い傾向がありますが、精神障害への療法があり、具体的な両方については、現在研究中で今後の課題です。

このように、プラダー・ウィリー症候群の療法は、主に4つがあり、一番効果があるとされているのが、成長ホルモン療法があるとされています。

その他にも、早期から徹底した栄養管理を行うことも非常に有効に働くことが可能です。

プラダー・ウィリー症候群

アンジェルマン症候群とは

特徴

アンジェルマン症候群とは、重い知的障害で、15,000人に1人の割合で発症する難病です。

具体的の症状は、ぎこちない動きやささいなことでもすぐに笑うなどがあり、外観の特徴は、口が大きかったり顎が尖っているの特徴があります。

また、旺盛な好奇心という特徴もあり、アクセサリーなどのキラキラしたものに対する興味がみられます。

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原因

15番目の染色体にあるq11とq13の位置にあるUBE3A遺伝子の働きが失われることが原因で発症すると言われています。

また、UBE3A遺伝子の働きが失われるメカニズムとして、遺伝的異常が原因とされています。

合併症

アンジェルマン症候群の合併症として挙げられるのが、下記の6つが挙げられます。

  • 発達遅延
  • 心合併症
  • 呼吸不全
  • 重度精神遅延
  • 斜視
  • 難治性てんかん

上記の6つの合併症の他にも合併症の症状が見られ場合があるので、注意が必要です。

治療方法

アンジェルマン症候群の治療法についても、まだ世界中で根本的な治療法は見つかっていません。

現在治療法として、行われているのが、対症療法が主に行われており、具体的には、表面化している症状による苦痛を和らげるための薬やカウンセリングなどを行います。

しかし、根本的な治療ではないので、直接アンジェルマン症候群に効果が期待できないです。

全常染色体全領域部分欠失疾患とは

全常染色体全領域部分欠失疾患の約80%は染色体検査で2q37欠失が認めらており、残りの約20%は検査方法はさまざまありますが、欠失解析でしか検出できないほどの微小な欠失によるものです。

1,000人に約0.7人が発症する傾向があり、親や祖先から受け継いだものではなく、卵子や精子ができる際に、突然変異で発症します。

主な症状としては、ヘルニア・消化管異常・内臓逆位・気管軟化症などの症状が現れます。

また、全常染色体全領域部分欠失疾患は、軽度から中度における発達延遅・精神遅滞が現れ、外観では肥満体型・低身長といった特徴が見られます。

このように、全常染色体全領域部分欠失疾患はさまざまな症状があり、検査をするのは難しい現状がありますが、全常染色体全領域部分重複疾患検査を利用することによって、微細な異常を見逃す可能が低く優れた検査を行うことができます。

遺伝子異常

NIPT(新型出生前診断)

これまで紹介した15q11.2欠失症候群のプラダー・ウィリー症候群及びアンジェルマン症候群は、遺伝的な要素と当然変異で発症しますが、NIPT(新型出生前診断)を利用する事で、出産前に健全で健康な赤ちゃんかどうか調べることが可能です。

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具体的な検査方法は、赤ちゃんの母体から血液を採取して、血液検査を行うことで、赤ちゃんの染色体異常を調べることが可能になります。

また、全常染色体全領域部分欠失疾患の検査には下記の5種類の症候群を対象に検査することが可能です。

  • 1p36欠失症候群
  • 4p欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)
  • 5p欠失症候群(猫鳴き症候群)
  • 15q11.2欠失症候群(プラダ―・ウィリー症候群及びアンジェルマン症候群)
  • 22q11.2欠失症候群(ディ・ジョージ症候群)

それぞれの症候群について、具体的に紹介していきます。

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1p36欠失症候群

筋緊張低下や精神運動発達などの神経症状や、1p36欠失症候群特有の顔立ちになる特徴がある染色体異常症候群の1つです。

また、その他の症状については、重度精神発達遅滞や成長障害、難治性てんかんなどの症状が現れます。

4p欠失症候群(ウォルフ・ヒルシュホーン症候群)

4番染色体短腕に位置する遺伝子群の欠失が原因によって引き起こされる染色体以上症候群で、成長障害や多発形状異常、重度の精神発達の特徴があります。

また、国が指定している小児慢性特定疾病で、発症率は5万人に1人の割合です。

5p欠失症候群(猫鳴き症候群)

5番染色体短腕の部分欠失によって引き起こされる染色体異常の症候群です。

主な症状として、甲高い泣き声や手足の指の異常、成長障害、筋緊張の低下などの症状が現れます。

15q11.2欠失症候群(プラダ―・ウィリー症候群及びアンジェルマン症候群)

15番染色体15q11-13領域が欠失することによって引き起こされる染色体異常症候群で、筋緊張低下や色素低下などの症状が現れる特徴があります。

また、口蓋裂や低カルシウム血症、免疫低下などの合併する可能性があります。

22q11.2欠失症候群(ディ・ジョージ症候群)

22番目の染色体のq11.2の微細欠失が原因で発症される染色体異常の症候群です。

主な症状として、精神発達遅延や免疫低下、低カルシウム血症などの特徴があり、4000人〜5000人に1人の割合で発症する疾患です。

また、ヒロクリニックNIPTではこれらの全常染色体全領域部分欠失疾患の検査を東京衛生検査所でおこなっており、上記の全常染色体全領域部分欠失疾患以外にも、全常染色体全領域部分欠失・重複疾患の検査も行う事が可能です。

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まとめ

いかがだったでしょうか。今回は、15q11.2欠失症候群(プラダー・ウィリー症候群及びアンジェルマン症候群)についてご紹介しました。

15q11.2欠失症候群は遺伝子異常が原因の指定難病とされており、具体的にはプラダー・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群とも言われております。また、それらの検査をする施設では、認証施設と非認証施設があります。

是非、今回紹介したことを参考にして、15q11.2欠失症候群などの遺伝子異常の病気を調べる際には、NIPT(新型出生前診断)を利用してみて下さい。

【参考文献】

15q11.2欠失症候群はプラダー・ウィリー症候群やアンジェルマン症候群とも言われている遺伝子異常が原因の指定難病です。特徴から治療方法まで具体的紹介し、NIPT(新型出生前診断)についても解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


水田 俊先生

水田 俊先生

ヒロクリニック岡山駅前院 院長
日本小児科学会専門医

小児科医として30年近く岡山県の地域医療に従事。
現在は小児科医としての経験を活かしてヒロクリニック岡山駅前院の院長として地域のNIPTの啓蒙に努めている。

略歴

1988年 川崎医科大学卒業
1990年 川崎医科大学 小児科学 臨床助手
1992年 岡山大学附属病院 小児神経科
1993年 井原市立井原市民病院 第一小児科医長
1996年 水田小児科医院

資格

小児科専門医

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