エドワーズ症候群(18トリソミー)とは?特徴や起こり得る症状、治療法や予後について

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エドワーズ症候群(18トリソミー)の赤ちゃんがどのような症状を持つのか、赤ちゃんのうちどれくらいの割合で起こるかなどを見てみましょう。

すぐに治療して治る染色体異常ではないものの、NIPTで早期発見し赤ちゃんをサポートすることは可能です。

エドワーズ症候群(18トリソミー)について知ろう

エドワーズ症候群とは?

18番目の染色体が1本多い、いわゆる「トリソミー」と呼ばれる状態になることが原因の染色体疾患を「エドワーズ症候群」といいます。
心疾患をはじめさまざまな先天性の疾患が起こるため、妊娠中にそのまま産まれることができない場合が多く、産まれてきたとしてもすぐに亡くなってしまうことや、1年以内に亡くなってしまうことも多い染色体疾患です。
その一方で、中にはそれ以上、20歳を超えても元気に過ごしている方もいます。

出生後は複数の症状を抱えていたり、成長とともに新たな合併症を引き起こしたりするため、長期にわたって治療を行う必要があり、家族と病院が連携して赤ちゃんをサポートしていく必要があります。
合併症の有無、程度など個人差が大きい染色体疾患ですが、合併症の程度が軽い場合やすぐに治療できるものの場合、寿命を延ばすことも可能です。

また、エドワーズ症候群が起こる割合は男児と女児では、女児の方が1:3の割合で多いこと、そして3,500人~8,500人に1人程度の割合で起こるといいます。
男児より女児の方が発生する割合が大きいのは、女児の方が妊娠を継続して産まれてくる確率が高いためです。
エドワーズ症候群の他にも、産まれた赤ちゃんが生存できる染色体異常の21トリソミー(ダウン症)や13トリソミー(パトウ症候群)がありますが、妊婦さんの年齢が高くなればなるほどこれらの発生率も高くなることがわかっています。

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エドワーズ症候群の特徴

エドワーズ症候群(18トリソミー)の特徴として、妊娠中の赤ちゃんの胎動が弱いこと(胎動微弱)や、羊水が通常よりも多い羊水過多、胎盤が小さい胎盤矮小(わいしょう)が見られるため、そのまま産まれることができたとしても、おなかにいた週数に対して小さな赤ちゃんが誕生します。

そして、赤ちゃんの顔には次のような特徴が見られます。

  • あごが小さい
  • 耳の位置が低い
  • 耳の形が通常と異なっている
  • 後頭部が突き出している
  • 首が短い

上記のような身体的特徴があるほか、肋骨が短い・骨盤が狭いなど体のさまざまな異常が見られることが特徴です。
また、エドワーズ症候群は筋肉や脂肪がつきにくく発達しにくいことから、産まれた赤ちゃんは弱々しくぐったりしているように見えることもあり、泣き声も弱々しく感じます。

さらに大きな身体的特徴として挙げられるのが、手足の形です。
エドワーズ症候群の赤ちゃんは拳を握りしめたような、いわゆる「グーの手」をしていることが多く、指が重なり合っていたり、足の親指が短く上に曲がっていたりするなどの特徴も見られます。
足の場合、足や足首が内向きになる「内反足」という症状や、足の裏がロッキングチェアの脚のように丸い「揺り椅子状足底」になることもあります。
妊婦健診の際に受けられる超音波検査(エコー)で、これらの外見の特徴を判断してエドワーズ症候群と判断されることもあり、複数の身体的特徴があらわれることも少なくありません。

エドワーズ症候群の原因

エドワーズ症候群(18トリソミー)が起こる原因は、23対ある染色体のうち、18番目の染色体が2本ではなく3本になってしまうためさまざまな症状があらわれてしまいます。

18番目の染色体が3本(トリソミー)になる原因として、減数分裂の失敗や体細胞分裂の失敗が挙げられます。
減数分裂とは、赤ちゃんのもととなる受精卵を作るため、精子や卵子が持つ染色体を減らす工程のことを指します。精子と卵子はもともと2本ずつ染色体を持っていますが、受精卵として合体するためにそれぞれ1本ずつ染色体を減らし、精子・卵子それぞれ1本ずつの染色体が合わさって受精卵になります。
このとき、2本から1本へと染色体を減らす減数分裂が失敗し、受精卵になったときに合計3本の染色体がある状態、これがトリソミーの原因です。つまり、23ペアあるうち18番目の染色体にこのような異常が起こり、エドワーズ症候群を発症します。

また、体細胞分裂は受精卵が分裂を繰り返して成長をしていくことを指しますが、この体細胞分裂が正しく行われなかったことが原因で18トリソミー、つまりエドワーズ症候群が起こります。
減数分裂が正しく行われなかったために発生したエドワーズ症候群は「標準型」、体細胞分裂が正しく行われなかったために発生したエドワーズ症候群は「モザイク型」と呼ばれており、このうちモザイク型は程度が軽症になる傾向が見られます。
ただ、多くの場合は標準型のため、重い症状が重なったり合併症を併発していたり、妊婦健診時の超音波検査で何らかの所見がある場合が高くなっています。

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エドワーズ症候群の症状

エドワーズ症候群(18トリソミー)の症状は、見た目でわかる身体的な症状のほか、体の中で起こるさまざまな症状が見られます。

身体的な特徴

前述のとおり、エドワーズ症候群は特徴的な見た目になり、指が重なるような位置にあったり耳の位置が低かったり、胸骨が短い、揺り椅子状の足底になるなどの症状が見られます。
また、指の数が5本より多い多指症、生まれつき隣り合った指がくっついてしまう合指症など、手足の指に関する症状が多く見られることも特徴で、他にも口唇口蓋裂のように見た目に関連した合併症が起こることもあります。

その他の主な症状
  • 先天性心疾患(動脈管開存症や心室中隔欠損症、大動脈狭窄など)
  • 呼吸器系合併症(横隔膜弛緩症や無呼吸発作など)
  • 腹直筋ヘルニア
  • 食道閉鎖
  • 胃食道逆流症
  • 腹直筋離開
  • 難聴
  • 悪性腫瘍
  • 停留精巣(男児の場合)など

体のさまざまな部分に奇形があらわれるほか、悪性腫瘍が発生する可能性が高いこと、難聴になることも多いことなど、長期にわたる治療が必要になることがわかります。

先天性心疾患や消化器官の狭窄など内臓の奇形が多く見られるため、出生後からすぐに治療を行う必要があり、特に心疾患はエドワーズ症候群全体の90%にもおよびます。そのため、決して寿命は長くはありません。
しかし、合併症が少ない場合や、重症となる症状が少ない場合など、個人差が大きくあるものの治療を行って寿命を長めることも不可能ではありません。

エドワーズ症候群(18トリソミー)自体を防ぐことはできないため、奇形や疾患など起こったことに対処・治療を進めていきますが、成長すると言葉を話せなくてもサイン・表情などを読み取ってやり取りをしていくことは可能です。
成長していくとともに重度の発達の遅れや障害がみられるため、適切なケアをしていくことが大切です。

エドワーズ症候群の検査

エドワーズ症候群(18トリソミー)の検査は、新型出生前診断(NIPT)や超音波検査で行われます。
妊婦健診の際に行われる超音波検査(エコー)で、次のような症状があらわれた際、エドワーズ症候群(18トリソミー)である可能性を疑います。

  • 羊水過多
  • 胎動不良
  • 胎児発育不全
  • 心臓の異常
  • 脳内嚢胞
  • 単一臍帯動脈

羊水が必要以上に多い、赤ちゃんの動き(胎動)が少ないほか、心臓の造りに異常がある場合や、赤ちゃんの脳に嚢胞(液体や固体が溜まった袋)ができている場合など、エコーでわかることはたくさんあります。

また、単一臍帯動脈とは、通常2本あるはずの臍帯動脈が1本しかないことです。
臍帯(へその緒)の中には1本の静脈と2本の動脈があり、このうち動脈は老廃物を母体側へ出す働きをしていますが、本来は2本あるはずの動脈が1本しか作られなかった、もしくは1本が退化してなくなった可能性が考えられます。
単一臍帯動脈と診断されても、多くの場合はそのまま異常なく出産できますが、赤ちゃんが小さい、他の奇形がある可能性もあります。18トリソミーは、超音波検査においてこれらの特徴がおなかの中にいながらわかるため、NIPTを受ける前に何らかの指摘を受けることもあります。

特に、赤ちゃんがおなかの中で育ちにくい、成長するスピードが遅い「胎児発育不全」だと判断されることで、その他の身体的特徴をエコーで確認したり、18トリソミーだと判断されたりする場合があります。
NIPTの場合、18トリソミーを含む3つのトリソミー(染色体異常)を血液検査のみで検査することが可能で、その後さらに詳しく調べるために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行って、18トリソミーと確定的な診断が行われる流れです。
また、超音波検査のみを行い、NIPTのほか羊水穿刺・絨毛採取などの確定的診断を行わないケースもあり、実際に生まれてきた赤ちゃんの見た目、そして血液検査によって18トリソミーだと診断することもあります。

18トリソミーの発生率は、以下の通りです。
21トリソミー(ダウン症)の発生率を参考に記載しています。

母体年齢

(出産時)

18トリソミー発生率

(21トリソミー発生率)

20歳

1/10000(1/1441)

25歳

1/8300(1/1383)

30歳

1/7200(1/959)

35歳

1/3600(1/338)

36歳

1/2700(1/259)

37歳

1/2000(1/201)

38歳

1/1500(1/162)

39歳

1/1000(1/113)

40歳

1/740(1/84)

41歳

1/530(1/69)

42歳

1/400(1/52)

43歳

1/310(1/37)

44歳

1/250(1/38)

ダウン症に比べると発生率は低いものの、母体の年齢が上がれば上がるほどその発生率が高くなっていくことがわかります。
母体出産時の年齢が40歳を超えると1000人に1人の割合を切っており、決して低い発生率ではないと言えるでしょう。

前述のとおり、エドワーズ症候群は卵子が形成される際の減数分裂がうまくいかず起こるケースが多いため、母体の出産年齢が高くなるほどこうした染色体異常が発生しやすくなると考えられています。

また、エドワーズ症候群は、妊婦健診時に受ける超音波検査(エコー)のみでは判断・診断されないこともあり、何らかの異常所見が見られる場合や、気になることがある場合などにNIPTを勧められる可能性もあります。
NIPTを受けて陽性だった場合には、その後確定的診断を下すためにも羊水穿刺や絨毛採取を行わなくてはいけません。

NIPTで分かること
検査でわかる事 NIPT検査で分かる疾患、 項目について NIPT(新型出生前診断)の検査の 項目は下記の通りです。 21トリソミー 18ト...

NIPTを受ける際に知っておきたいこと

NIPTは、羊水穿刺や絨毛採取のようにリスクが大きな検査ではなく、おなかが張りやすい妊婦さんでも身体的な負担をほとんどかけることなく受けられます。
通常の血液検査のみで染色体異常を調べられる一方、決して気軽に受けられる検査ではないことを理解しておきましょう。

NIPTを受ける際には、赤ちゃんに何らかの染色体異常が見つかる可能性があります。
たとえ染色体異常をまったく疑わず、軽い気持ちで検査を受けた場合でも、実は染色体異常が見られたということは考えられます。このとき、家族でどのような判断を下していくか、どう受け止めていくかが重要です。

ただ、NIPTは赤ちゃんの命を淘汰するために行われる検査ではないこと、そしてもしも染色体異常が見つかった場合、どのように迎え入れるか、どこの病院で適切な治療を受けられるかという計画を立てていくためのものです。
そして、何より赤ちゃんを迎え入れるために家族が心の準備、治療の準備を行いながら日々を穏やかに過ごしていくことを目的としています。

そのため、NIPTを受ける際には家族でよく相談し、何らかの染色体異常が見つかった際の心構えをしておくことや、できるだけ検査に対するストレスを少なくできるよう、必ずカウンセリングを受けること、そしてNIPT認定施設にて検査を受けるようにしましょう。
NIPTを受けられる施設は認可・無認可さまざまなところがありますが、無認可施設の場合、検査のみで必要な情報を与えてくれない場合や、安心して検査を受けられず強いストレスを受けてしまう可能性があります。

赤ちゃんと、赤ちゃんを受け入れる自分たち家族が出産の日までどのように過ごしていくか、しっかり向き合って考えていけるよう、NIPTは綿密なカウンセリングが受けられるNIPT認可施設を利用しましょう。

また、NIPTを受けた後に陽性という結果が出たとしても、必ずしもエドワーズ症候群(18トリソミー)やその他の染色体異常があるとは限りません。このように、検査は100%ではないこと、逆に陽性であったとしても陰性という結果(偽陰性)になることもあると理解し、検査を受ける必要があります。
つまり、NIPTは非確定的な検査であり、たとえ陰性だと結果が出ても不安な状態が続いたり、心配が続いたりする可能性があります。

わからないことや不安に思うことはカウンセリング時に尋ね、どのような結果が出ても受け入れる準備をしておきましょう。

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